今日から12月ですね。かなり寒くなりました。
ブログの更新が大分遅れてしまいました・・・すみませんm(__)m さて、今日は衝撃的なニュースを目にしました。 3月11日の大地震とその余震で、仙台や福島の商業施設(3店舗)で、なんとエスカレーター4基が落下していたのだそうです。 「下層のエスカレーターを押し潰す様に落ちた」と書かれていました。 想像しただけでも恐ろしい状況です。 幸いにも けが人はいなかったとのことで、本当に良かったです。 エスカレーターが落下したこと自体もかなり驚きですが、それより、そのことが今日まで明らかにされていなかったことも驚きです。 業界団体、政治力が働いたのでしょうか・・・? エスカレーターというのは、上下階の梁に金具で引っ掛け、片側は梁に固定し、もう片側は固定せず、地震で建物が変形しても、エスカレーターに無理な力が加わらないようフリーな状態にしてあります。 フリーになっている側の、梁とエスカレーターの掛りしろは、国で基準を定めています。 今回は、その基準に照らして明らかな設計ミスや施工ミスはなかったと言われています。 (基準を超える「想定外の」大きな動きがあったのでしょうか?) 一方で、ある施設では設計と異なる方法で施工されていたことが判明している、との話もあり、大地震だけが落下の原因ではないとの見方もあるようです。 大震災以降、私たちが調査した首都圏の建物でも、エスカレーターの周りの床材が割れるなど、地震でエスカレーターが大きく揺れたことによる被害がいくつかみられました。 その時はまさか、落下したものがあったなどとは思ってもいませんでした。 国は今、基準の見直し・落下防止対策の義務付けを検討しているとのことです。 対策の義務付けが決まれば、建物オーナーにとっては多くの費用負担が生じます。 また、実際の工事となると、費用・工事時期などいろいろな問題があると思われますが、不特定多数の人々が日常的に利用する設備ですので、安全性の確保には最善を尽くしていただきたいと思います。 それにしても、今回 けが人が出なかったことは 本当に奇跡的なことだったと思います。 |
建物調査をしていて、図面と現地の状況が違うと言うことは
よくあることなのですが、竣工図(建物竣工時点の状態を表す図面)と 現地の状況が合っていないというケースがありました。 なんと、構造的に重要な1階の端部の『耐力壁』が構造図にはあるのに 実際はないのです。 壁がなく柱だけの、いわゆるピロティ形式になってしまっていました。 工事途中で設計変更して、梁を補強するなど、耐力壁を無くす代わりの 対策が取られていれば問題ないのですが、検査済証も取得していないため 適切な対処がされたかどうかも定かではありません。 ピロティ形式といえば、1階に壁がなく柱だけの開放的な空間ですが、 阪神大震災では多くの建物が倒壊する被害がでています。 ![]() しかし逆に、東日本大震災では、沿岸部にあるピロティ形式の建物は流失を免れ、 再使用できる状態で多く残っている、との学会報告も出ています。 これは、1階に壁がないことで津波の力を受ける面積が少なくなるため ではないかと分析されています。 <津波に強かったピロティ> 私たちが調査した建物は、沿岸部にある訳ではないので、 津波に見舞われる可能性は極めて低い状況にあります。 なので、やはり構造図に『耐力壁』として存在している壁がないことに 不安を抱きます。 実際その部分の梁の下端にはひび割れが入っていました。 補強など、適切な対処が行われることを望みます。 建物調査をしていると、思いもよらない事態に出くわすことがあります。 そしてこう思うのです。。。 「よくこれで、あの大地震で倒れなかったなぁ・・・」と。 地震による建物被害は、揺れの方向、横揺れ・縦揺れなど、 被害をもたらす要因はその時々で、また建物の状態で違ってきます。 上で述べたような建物も、たまたま偶然、被害を免れたのかも知れません・・・。 |